もっと もっと モルモット オルガ

パディントンでおなじみのマイケル・ボンドさん。ボンドさんは、オルガ・ダ・ポルガという名のモルモットの物語もかきました。訳者がオルガについて少しずつ書いていこうと思っています。

小屋ぐらしの主人公

飼いネコだけれど、ネコゆえに近所を歩きまわり、ときには外泊(?)するノエルや、もともと野にくらすファンジオとグレアム。それにくらべて主人公オルガは、ほとんどの時間を小屋か金網囲いのなかですごしています。


一時は外にあこがれて冒険にでたこともありますが、オルガは家がいちばんすきなようです。四季おりおりの景色がたのしめるし、なによりなかまたちがやってきて、いろんなことをおしえてくれますからね。オルガの人徳ならぬ「モルモット徳」といったところでしょうか。


じつは、ボンドさんは、オルガはパディントンほどいい主人公ではないといっていました。理由は自由に動きまわれないから。冒険するには、どうしてもネコやカメといったなかまが必要になるのです。でも、おかげですてきななかまたちが登場することになったのですから、ぎゃくにいい主人公といえるのでは?


それにしても、主人公がほとんど動かないのに、こんなに楽しいお話がくりひろげられるのは、やはりオルガの想像力があるからでしょう。どこにいようと、頭のなかは小さな宇宙。無限の世界がひろがっているのです。

オルガの金網囲い

ある日、オガクズさんがオルガのためにつくってくれた「金網囲い」。はじめはいぶかしがっていたオルガですが、「床」がぜんぶ食べられるとわかって、お礼もそこそこに草をほおばりました。それだけでなく、運動もできるし、なかまたちとすぐ近くで話ができます。なんて便利なのでしょう。


そもそも金網囲いとはどんなもの? 日本の、とくに都会では目にすることがあまりないですよね。『オルガとボリスとなかまたち』の見返しには、つくりかたがのっているので、底なしのモルモット小屋のような感じだとわかってもらえるとおもいます。


欧米では珍しくないようで、インターネットでもよく見かけます。「金網囲い」と訳しましたが、英語では「run」。検索窓に「guinea pig run」といれてみてくださいね。いろいろな形のものがありますよ。

ボンドさんとテレビ

まえに、テレビが発明されたのはボンドさん誕生の1年前と書きました。


じつは、ボンドさんとテレビの関係はそれだけではありません。はじめのうち、ボンドさんはイギリスのテレビ局BBCでカメラマンをしていたのです。やがて、パディントンの人気に火がつくと、本を書くのがいそがしくてBBCをやめます。けれども、そのあともBBCの子供番組にでてくるアニメの脚本を書いていました。


ボンドさんは、飼っているモルモットの映画をつくろうと、お話をかいたことがあったそうです。でも、テレビのカメラマンをしていたボンドさんでも、モルモットを撮影するのはたいへんだといっています。動物はこちらの思いどおりにうごいてはくれませんからね。たくさんのフォルムをむだにしたそうですよ。